2021年のトレンドを考える【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第147回】




VITUP!読者の皆様、あけましておめでとうございます。年末年始はいかがお過ごしでしょうか? 2021年が始まっております。時間の流れが異常に早く感じています。

 

さて、2020年は新型コロナウイルスの影響で全世界的に大変な1年でした。現在も新規感染者数は日々増加中で、いつ誰が感染してもおかしくない状態となっています。日常的なマスクの着用、手指消毒の徹底、リモートワーク、三密を避ける……といった新しい生活様式が根づくなか、トレーニングにも新しい生活様式が生まれつつあるような気がしています。

 

ジムでは元々、器具使用後の消毒は常識でしたが、ナーバスな人は使用前後だけでなく、途中でも消毒をする人もいるくらいです(意味ないと思いますが…)。また、マシンとマシンの間にアクリル板が入れられていたり、常に窓がオープンで換気されていたりと、いろいろと変化が見てとれます。

 

なかでもスタジオでのグループレッスンには大きな変化があります。これまで通りの人数で行なうとかなり密になるため、人数を大幅に制限。あるいは長時間、密な空間にいることを避けるために、時間の短縮。他にもみんなでの声出しの禁止、メンバー同士でのハイタッチや握手などのスキンシップも禁止と、グループレッスンの醍醐味である部分が、不可能となり、なかなか利用者のニーズを満たすことが難しくなっているようです。

 

その一方でグループレッスンは、オンラインで行なう取り組みも実施されることが増えていると言います。オンラインでインストラクターさんの指示や動きを見聞きしながら、それぞれが自宅で同時にレッスンを受ける。これなら密になる心配もなく、人数制限も気にする必要がないので、オンラインはグループレッスンに合っていると言えるでしょう。オンラインレッスンは、2021年はより増えていくと思われます。

 

グループレッスンでは、屋外でのアウトドアトレーニングも増えるかもしれません。ジムはとにかく密室空間を敬遠される傾向があり、屋外は屋内よりも危険性が低いということから、屋外でのグループレッスンが多くなることも考えられます。以前、Rhythm Stretchの屋外イベントの模様を取材させていただきました。当時は世界がこうした状況になることは予想していませんでしたが、開放的な屋外でのトレーニングは、周りの人との距離を取れればマスクを着用せずに運動することが可能で、また、みんなで声を出すこともできます。これは意外と流行るかもしれないなと感じています。

屋外でのグループレッスン

 

また、2021年はパーソナルトレーニングの需要が増えていくと予想します。これはパーソナルトジムを運営している方たちとお話をしていると、そのニーズが高まっていることを感じられるからです。パーソナルジムは不特定多数の人と同じ空間になる心配がなく、感染リスクが圧倒的に低いのがその魅力。加えてリモートワークにより日常的に運動不足の人が増え、「運動をしたいけど何をしていいかわからない」という人からの問い合わせが増えていると言います。こうした背景から、2021年はパーソナルジムの人気がこれまで以上に高まっていくのではないかと思います。

 

そしてもう一つトレンドとなりそうなのは、ホームジム。すでに自宅をホームジム化している人もいて、2020年の自粛期間中は、かつてないほどパワーラックが売れたそうです。他にもダンベル、ストレッチマットなど、自宅で使うためのトレーニング用品がかなり売れています。第147回のコラム「週刊VITUP!アワード」で第1位となったのも「現金10万円給付されたつもりでホームジムをつくってみた」というコラム。ホームジムへの興味が高い人が多いことがうかがえます。私自身も可能ならいろいろ揃えたいなと思っているくらいです。

 

トレーニングのトレンドを予想してきましたが、コロナ状況が今後どう変化していくかはまだ読めません。皆さんが安心、安全にトレーニングを続けて、健康であることを願っております。というわけで今年もよろしくお願いします。

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。