野菜ジュースの効果のほどは?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第90回は、野菜ジュースを飲めば本当に野菜を食べるのと変わらないくらいの栄養を摂れるのか?という疑問について。

■ジュースにする際に減ってしまう栄養素もある

野菜ジュースからビタミンなりミネラルを補給するのは、間違いではありません。ただし、通常の野菜をそのまま食べるのと同じかと言われれば、減ってしまう栄養素もありますので変わらないということにはなりません。ある程度、日持ちのするジュースという状態にするためには、撹拌や加熱、ろ過といった工程が必要となりますので、その際に減ってしまうビタミンなどがあるからです。

とくに、水溶性のビタミンであるビタミンCやビタミンB群は減りやすいビタミンなので、通常の野菜をそのまま食べるのとは異なります。また、不溶性の食物繊維などもろ過の過程で取り除かれやすいので、通常の野菜よりも減ってしまいます。一方、脂溶性のビタミンなどは比較的損なわれず流出もしにくいので、野菜ジュースには残りやすいとされています。いずれにしても、記載されている含有量は間違いありませんから、そこのチェックはしてもいいですね。

それと野菜由来の糖質やショ糖などは当然含まれますが、別途味を調えるために配合するケースなどは、糖質由来のカロリーに少し気をつけたほうがいいかもしれません。やはり食事の際には一般の食材として野菜を食べるようにして、不足気味であったり、間食の際などには野菜ジュースを利用するというパターンがおすすめですね。

最近はスムージーも売られていますが、スムージーはジューサーではなくミキサーで野菜や果物をそのまま押し潰すようにして作りますので、不溶性の食物繊維も失われがちな水溶性のビタミンもそのまま残りやすくなります。果物と混ぜることが多いので、糖質が多めでカロリーは高めになるかもしれませんが、より一般の食材に近い状態と言えますので、シーンに応じて取り入れていく価値はありそうです。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。