相澤隼人3連覇への道中で得た気づき「ボディビルって、“そこ”じゃないかなって」




表彰式で最後にその名前が呼ばれると、今年も涙した。その姿を見るのは3年連続、1度目は純粋なうれしさ、2度目は優勝しながらも感じた悔しさ、そして今年は“安堵の涙”といったところか。

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「ここまでやってきたことが実になってうれしいです。昨年は優勝できたものの納得できる体づくりはできずに涙しましたが、その点で今シーズンは、自分自身の成長を感じられた1年だったと思います」

「第69回日本男子ボディビル選手権大会」を制し、3度目の「ミスター日本」に輝いた相澤隼人はそう振り返る。初めて王者になったのは2年前、コロナ禍の真っ只中であり、どれだけ迫力あるボディを見せようとも、観客席から聞こえてくるのはフィルターのかかった、漏れ聞こえてくるような声だった。だが今年は本格的に制限がなくなり、選手が登場するだけで地鳴りのような声が響き渡る。「やっぱり、ボディビルにはそういう部分も必要ですから。少し意識していました」と、そのような応援の声に対して笑みをこぼすなど、余裕のある姿も垣間見えた。

絶対王者の風格もまとまわせながらも、自身のYouTubeチャンネルでは素顔をふんだんに見せたり、会場に集まった日本体育大学の後輩たちと記念写真に収まる姿を見たりすると、まだ今月で24歳になる若者だということを改めて感じる。その若さにして日本のボディビル界のトップに立つプレッシャーはないのだろうか。

「正直、当初はプレッシャーみたいなものはありましたよ。でも、『そこ』じゃないかなって。ボディビルの大事な部分はやっぱり、自分が取り組んできたことに対してどういう変化が起きるかというところ。今シーズンはそこにしっかり取り組めたので」

昨年は件の涙に加え、その後の「IFBB世界選手権」においても開催地であるスペインまで赴きながら、前日の検査で新型コロナウイルスの陽性反応が出てしまったために直前で欠場。苦難のシーズンを経て、今年は心身ともにグレードアップした姿を世界に見せたい。

「これからも自分の体を変えていく。そのために、トレーニングに励んでいきたいと思います」

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